第四章 株式会社○×銀行

銀行は営利企業であることを皆さん忘れてはいませんか?

 銀行に対してあなたはどのようなイメージを持たれてるだろう?銀行というと何か公的機関のような感じを持たれている方も多いようだ。銀行の春板やパンフレット類も「○×銀行」とだけ書かれているので尚更だ。

しかしここで再確認しておこう。

 銀行は株式会社。営利企業 なのだ。

決して公的機関でも、非営利企業でもない。

あえてもう一度言う。

 銀行は株式会社。営利企業なのだ。

 何故ここでくどいように銀行が営利企業であることを取り上げるかと言えば、銀行が何をしていて、その目的は何なのかということを忘れていると、大きな勘違いをしてしまうからなのだ。

 読者も銀行の一つつや二つに口座を持っていて、生活の中で色々と利用されていることだろう。定期預金・普通預金を始めとして、公共料金・クレジットカードの引き落としや、様々な支払いの振込と、銀行はなくてはならない存在であることは間違いない。そして読者の命の次に大切なお金を預け入れる訳だから、信用がおけるところとして銀行を見ているはずだ。銀行側もそれを心得ていて、銀行は信用第一。信用を何より重んじている。

 しかし銀行のメインとなる仕事は、皆さんのお金を預かることではない。

銀行の主たる業務はその逆で、お金を貸すことだ。お金を貸してその貸出金利を稼ぐことなのだ。簡単に言えば「金貸し業」だ。

 銀行は皆さんのお金を預かり管理しているだけでは、儲からない。預かったお金には少ないとはいえ預かり金利をつけている訳だから、預かっているだけでは儲かるどころかマイナスになってしまう。たしかにATMを利用して送金したり引き出す場合に手数料を取られてはいるが、それだけでは儲けはでない。

ではどうするのかと言えば、預け入れられたお金を、企業や個人により高い金利で貸して、その金利の差額が銀行の儲けとなっているのだ。

 「金貸し業」と聞くと何か良くないイメージが付きまとい、 「サラリーマン金融」俗に言う「サラ金」や悪徳金融がどうしても浮かんでしまいがちだ。銀行とは全く正反対のイメージだ。しかし実際銀行とサラ金業者とは、何らしていることに大きな違いはない。

 サラ金業が手軽に貸してくれるために利用者も多いわけだが、そのサラ金業の資金はどこから来ているかご存知だろうか?

それは「銀行」なのだ。銀行は皆さんのお金を預かり、それを「サラ金業」に貸出し、「サラ金業」は高い金利で皆さんに貸出しているという訳だ。銀行は自行で貸すことのできないリスクの多い客を、「サラ金業者」にリスクを肩代わりさせ間接的に貸し出しているだけなのだ。それが誑拠に、現在では大手のサラ金業者ぱほとんど銀行の系列下に入ってしまっている。

 さて、銀行の業務の実態のイメージをつかめただろうか。

 おさらいしてみよう。銀行は、金貸し業だ。簡単に言えば、銀行はお金を貸し、その利息で儲けているところ。他の企業と全く同じように、 「儲け」こそが企業としての目的なのだ。だから支店長や他の行員のプラス評価はどこで決まるかと言えば、単純だ。いかに儲けを出すことに貢献できたか?だ。

 企業として「儲け」=利益を追求することは決して悪いことではない。読者のお勤めの会社も全く同じことだ。

 しかし、銀行がそうであることを忘れてしまうと、大きな勘違いが生まれてしまうと先ほど述べた。どこが、大きな勘違いに繋がってしまうのだろう。

 読者が何かの目的のために銀行から融資を受けようとしている、と考えてみよう。銀行は「金貸し業」としてより安全な対象へお金を貸そうとする。そして、儲けのために「なるべく高い金利」で貸そうとしている。当然ながら、あなたはなるぺく良い条件で借りようとする。あなたにとって良い条件とは、なるべく簡単で縛りなく、安い金利で借りることだ。

 ここで何か気付かないだろうか?

 感の良い読者には、もうお分かりだろう。そうだ。銀行の考えていることと、あなたの考えていることとは、全く正反対なのだ。銀行は貸しっぱぐれがないように、本当に約束通り返してくれる人か、万一の場合にも絶対損をしないように、がんじがらめに様々な手であなたを縛り付ける。(世界中を見渡しても、日本の銀行ほど損をしないような制度で守られている銀行は類を見ないようだ。)そして、できる中で、なるべく高い金利が取れる方法で契約しようとする。

 あなたが高い金利を使っていて困っているからといって、銀行が手を差し伸べてくれない理由もこれで良く理解できるだろう。  前章で銀行は「救済しない。」と言ったことを覚えているだろうか?相談会に行って、相談できると考える方が大きな勘違いなのだ。あなたの相談に乗って、あなたに良い条件で融資をしようなどとは銀行では誰も思っていないのだ。もしあなたの立場を考え、親身になって相談に乗ってくれる担当者がいたとしたら、その行員は銀行の方針に背く異端者になってしまうのだ。銀行にとっての優秀な人材は、儲け第一主義の銀行の中で、儲けを度外視した行動などするはずも無いのだ。

 銀行は、株式会社、利益追求企業なのだから。

 

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