はじめに

 ここで述べている銀行と住宅口ーンにまつわる話は、単なる知識として終わるものではない。実際に読者が銀行の窓ロへ行き、住宅口ーンを始めとする融資契約を成功へ導き、その結果人生をより豊がなものへと変貌させることのできる、打ち出の小槌と成り得る、価値あるものばがりのはずだ。どれも私の実体験に裏付けされた実証付のものばかり。知ってしまえば「なんだ!そんなことなのか。」と思われることもあるかもしれない。しかし、知らないままであったなら、あなたの銀行の見方は従来のまま。ただ銀行を儲けさせるためだけに、一生返済を続けているかもしれないのだ。

 銀行や住宅ローンを始めとする融資制度については、商品やその仕組みについて書かれたもの、また法入を対象とした銀行について書かれた本はある。しかし、消費者の立場に立って実際に銀行と交渉し、その体験から書かれた本は何故かどこにも存在していない。テレビやインターネットなどのメデイアでFP(ファイナンシャルプランナー)や評論家によって書かれた金融情報の類は、実践を伴わない頭でっかちの知識だけのものだ。

  そんなものは実際には実益のない、あなたに損害をもたらすだけのもの。

 私が銀行と住宅ローンに係わってから早いもので、もう十五年が経過した。銀行に係るような仕事に就いていた訳でもなかったので、今の皆さんと同じように、銀行の敷居はとても高いものだった。まして、住宅ローンを金利の安いものに借り換える、などと考える人も少ない時代、銀行自体もどのように対応して良いのか内部的なマニュアルも存在するわけもなく、担当者に相手にされずに屈辱的なことも多々あった。
そんな幾多の経験の中から徐々に銀行の内幕を知ることになり、失敗と成功の中から、私は銀行交渉のコツを掴んでいった。その全てを、ここで明かしたいところだ。しかし限られた紙面ではとても足りない。また銀行融資は個々に条件が違い、その都度対応策と準備も異なるもの。そこで今回は、中でも直接皆さんの役に立つ、すぐにでも知っておいてほしいことばかりに絞り込んでみることにした。最初に私が銀行と住宅ローンに係わることとなったきっかけ。そしてこのダイジエスト版では本書から先に知っておいてほしいことをピックアップしてみた。

 読者が、現在損を抱えたまま銀行に返済を続けているなら、一刻も早くこの本に書かれていることを信じて実行し、損を取り戻していただきたい。

 大根一本でどこが安いかあれほど血眼になるのに、人生で一番大きな買い物と言われる住宅ローンやその金利について、無頓着な人が多いことにはいつも驚かされる。
 何故なのだろう?

 誰も損はしたくないと考えている。けれど、その損を取り戻すことに関しての行動は、得を得られると思えるものに対する行動に比べて、どうしても遅れがちになるものだそうだ。得をしていることは明らかにして喜びたいのに、現在損失が発生していることに対しては、目を向けて明らかにはしたくない心理が働く。皆悲しみたくはないのだ。 

 この本を読み終わった読者は、事実から目を背けなくなるだろう。怖がらずに、ご白身がどれだけ今損をしているのか、今のままではこれからどれだけ損をしてしまうのか明らかにして、直視できるようになるはずだ。今までと違い、その損を取り戻すためのノウハウがあること、あなたの手助けをする工ージエントがいることを、この本で知ることができるからだ。

 一人でも多くの人が損を取り戻すことができ、 「本当に良かった。」と感じていただけるなら、モーゲージ・エージエントとしての私の本懐だ。

平成二十年三月

賀川 俊雄

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