第三章 銀行相談会の真実

銀行相談会に相談に行っても相談はできない。その訳は?

 毎週のように土曜日・日曜日になると銀行では住宅ローン相談会が開かれてる。 「相談会」と書いてあるのだから「毎月の支払が大変だから銀行へ相談に行ってみよう。何か良い方法でも教えてくれるといいなあ。」と、考えてせっかくの休日を返上して出向く方も多いいようだ。結果、ほとんどの方が、がっかりして帰ってくる。

 あなたがこれから銀行の相談会へ出かけようと考えていたなら、やめた方が無難だ。

 何故なのだろう? 答えは簡単。銀行の住宅ローン相談会など名ばかりで、「相談会」などと謳っているのは真っ赤なウソだからだ。

「相談会」というと、何かあなたの悩みの相談に乗ってくれそうなイメージがあるが、銀行にとっては単なる営業の窓口であり、お客の囲い込みを目的とした住宅ローンの受付会、と言ったほうが正しいかもしれない。
それが証拠に、本来の相談会なら、あなたの現在抱えている住宅ローンの内容を分析し、あなたの希望を聞き、あなたの現状とこれからのライフプランに合わせ、的確なアドバイスを与え、あなたに最適の住宅ローンを提案すべきものだ。

 しかしどこの銀行の相談会へ行ったとしても、そのようなことは決してないのだ。

 単に自行の住宅ローン商品を並べて解説をするだけで、「取り敢えず申し込みをして下さい。申し込み書類を預かります。」との答えが返ってくるのみだ。他の銀行の商品との比較もできない。自行の売りたい住宅ローン商品を勧めてくるだけなのだ。まして、あなたが支払いを下げたいと考えていて、良い解決の策のアドバイスを求めていたとしたら、その担当者は何の役にも立たないだろう。土日の相談会の窓口担当の行員は、そのほとんどが派遣社員や、住宅ローンに対する知識や経験が少ない人たちであることが多いのだ。

 あるお客様の住宅ローンの借り換えの契約(金銭消費契約)に同行した際に、担当の行員と名刺交換の挨拶もないので、「後日連絡のために、名刺をいただけますか?」と訊ねたところ、返ってきた答えに驚いた。「私は名刺を持っていないので、上司の名刺を持ってきます。」と言うのだ。
契約する本入にしてみれば。一生で一番大きな、そして大事なマイホームの融資契約でありながら、契約担当が名刺も持っていない立場の行員、というのでは興ざめ。けれど銀行側にしてみれば、住宅口ーンの融資とはその程度の優先順位のものなのかもしれない。そしてその住宅ローンの窓口の行員の研修では、「救済を求めている人など、相手にしないように。銀行は救済はしない。」と、教えられているのだ。

 銀行が対象にしたい大事なお客とは、基本的に二部上場以上に長年勤務し、年収七百万円以上の、確実に返済ができ、預金もしてくれそうな人なのだ。もしあなたが、その該当者だったなら、担当窓口の対応は大きく変わってくるだろう。

 六十歳の定年退職を迎える方が、ある都市銀行に相談に行った。

 住宅ローンの残額が六百八十万円だったので、それを退職金で一括返済しようか、それとも、今の金利が六パーセント台なので、安い金利に借り換えできるのなら支払いが楽になるので、借り換えして返済していこうか、と迷っていたのだ。できるなら、なるべく退職金には手を付けたくないというのが本音のところだった。

 しかし、 「一干万円以下の借り換えは、できません。」というのが相談会での回答だった。

 どこのマニュアルに、融資残高に対して借り換えのできる・できないが書いてあるのだろう。私はこの話をお聞きした時に「おかしい!」と思い、すぐにその銀行の別の支店の住宅口ーン窓□に電話をしてみた。するとどうだろう。こんどはこういうのだ。

「残高が一千万円以下だから借り換えができないということは当行ではありません。 担保不足で借り換えができないということはありますが、お客様の場合都内で場所も良 いので間題ありません。お待ちしております。」

 既に退職金で一括返済をしてしまった後だったので、後の祭りになってしまった。奥様はこのことを知って、あの銀行の担当者に騙された、と大変憤慨されていた。

 こんな方もいた。住宅金融公庫の段階金利(当初の金利が十年間固定されていて、十一年目から4%に上がるもの)を利用されていて、当初十年間が2.55%で後二年で十一年目の4%になってしまうため、借り換えをお考えの方だった。
ある都市銀行の相談会へ行くと、 「百五十万円位損をするので、借り換えない方が良いですよ。」との回答が返ってきたのだ。担当者から詳しい説明もなく、借り換えをして損をしてしまうという意味がよく理躍できなかったので、インターネットで調べ弊社に相談が入った。

 さっそく私はお客様の内容を分析してみた。すると銀行が計算したのは、その銀行が売りたい十年固定金利3.95%を基にしての計算上のこととわかった。これは、これから金利が間違いなく上がるからと客を脅かし、今のうちに金利の高い長期固定に切り替えさせようという銀行の営業方針に基づいてのことだった。

これはお客の立場を無視し、あくまでも銀行側の都合で、その客に売りたい商品が売れるかどうか、だけを判断基準とした銀行の身勝手の表れだ。

 お客様の希望は、低金利のものに借り換え、毎月の支払額を減額することが第一条件だったので、変動金利2.375%から優遇金利全期間O.7%マイナスを活用すれば1.675%の金利が利用できて、返済額が大幅に減額でき、更に年間四万円位支払っている団体信用生命保険料もこれから支払わなくても済みます、とお伝えした。

 お客様は「銀行は誰のための相談会を開いているのだ。銀行を儲けさせるための売り上げ確保のための相談会なのか。これから銀行は信用しない!」と大変怒られていた。

 もうお分かりだろう。銀行の相談会へ行っても、相談にならない理由を。

 

≪前のページ 目次へ ≫第三章 「まとめ」 へ